なぜ、ドルが弱くなると金価格が上昇するのか?
金価格と米ドルの間には逆相関の関係があり、通常、米ドルが弱くなる(価値が下がる)と金価格は上昇する傾向があります。その理由を詳しく解説します。
米ドル建てでの金取引
金は国際市場で主に米ドル建てで取引されます。したがって、米ドルの価値が下がると、ドル建ての金の価格は相対的に上昇することになります。
- 例:
- 1トロイオンスの金が1,800ドルのとき、米ドルが5%下落すると、同じ金を買うのにより多くのドルが必要になり、金価格が上昇する。
インフレと購買力の低下
米ドルが弱くなる(価値が下がる)と、インフレが進行する可能性が高まります。インフレが進むと、通貨の購買力が低下し、投資家は価値を維持できる資産を求めるため、金の需要が高まります。
- 金は「インフレヘッジ」として機能
- 米ドルの価値が下がると、実物資産である金の魅力が増す。
インフレ進行時に紙幣の価値が下がる一方、金は希少資産であり、価値を維持しやすい。
世界の投資資金の流れ
米ドルが弱くなると、投資家は安全資産として金を買う傾向があります。
- リスクオフの動き
- ドルが弱くなると、金融市場の不確実性が高まり、金の需要が増える。
例えば、米国の金利が下がると、ドル資産の魅力が減少し、金が買われる。
- 米国以外の投資家にとって金が割安に
- 米ドルが下落すると、他の通貨を持つ投資家にとって、ドル建ての金が割安になり、買いが増える。
米国の金融政策(FRBの影響)
米ドルの価値は、米連邦準備制度(FRB)の金融政策によって大きく影響を受けます。
- FRBが利上げをすると
- 米ドルの価値が上がる → 債券の魅力が増す → 金の価格は下落しやすい
- FRBが利下げをすると
- 米ドルの価値が下がる → 金利の低下で債券の魅力が下がる → 金の価格が上昇
地政学リスクとリスク回避の動き
米ドルが弱くなると、投資家はリスク回避のために金を買うことが多くなります。
- 戦争や金融危機、経済の不透明感が高まると、米ドルが売られ、安全資産としての金が買われる。
- 特に、米国経済が弱まると、ドル安+金高の流れが加速する。
結論
「米ドルが弱くなると金価格が上昇する」のは、以下の理由によるものです。
- 米ドル建てで取引されるため、ドル安時に金の相対価格が上がる。
- インフレ進行による購買力低下で金がインフレヘッジとして買われる。
- ドル安で世界の投資家が金を割安に感じ、買いが増える。
- FRBの金融政策がドルと金の関係を大きく左右する。
- 経済の不透明感が高まると、安全資産としての金が買われる。
このように、金価格は米ドルの動向に大きく左右されるため、投資家は常に米ドル指数(DXY)やFRBの政策を注視する必要があります。


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