デジタルドル(中央銀行デジタル通貨:CBDC)の開発とその影響
デジタルドル(中央銀行デジタル通貨:CBDC)の開発とその影響について、解説します。
開発状況
- 2020年にボストン連銀とMITが共同でCBDCの調査を開始しました。
- 2022年1月にFRBがリテールCBDC「U.S.CBDC(デジタルドル)」に関する報告書を公表しました。
- 現時点では、デジタルドル発行の是非の判断は当面予定されていません。
開発の背景と目的
- 金融包摂の改善:銀行口座非保有者も低コストで決済サービスを利用可能にすることが期待されています。
- 2022年3月の大統領令で、デジタルドル等デジタル資産の研究がバイデン政権の優先課題の1つと位置付けられました。
潜在的な影響
- 決済システムの効率化:国内外の送金や証券決済において、決済遅延の解消や決済リスクの軽減が期待されます。
- 金融政策の新たな手段:中央銀行が直接個人や企業に資金を供給できる可能性があります。
- 銀行システムへの影響:従来の銀行の役割が変化する可能性があります。
課題と懸念事項
- プライバシーの問題:取引データの管理や利用に関する懸念があります。
- サイバーセキュリティ:システムの安全性確保が重要な課題となります。
- 既存の金融システムとの共存:従来の銀行システムとの調和が必要です。
国際的な動向との関連
- BISが主導する「プロジェクト・アゴラ」に参加し、CBDCの国際決済での利用に向けた実証実験を開始しています。
- 中国などの他国のCBDC開発の進展を意識した動きも見られます。
今後の展望
- 発行検討に向けたタイムテーブルは現時点で示されていません。
- 国内でも発行に関して賛否が分かれており、慎重な検討が続けられると予想されます。
デジタルドルの開発は、アメリカの金融システムに大きな変革をもたらす可能性がありますが、同時に多くの課題も抱えています。今後の研究や議論の進展を注視する必要があります。