PER変化率とは?
PER変化率とは、株価収益率(PER)が一定期間でどれだけ変化したかを示す指標です。PERそのものが株価と1株当たり利益(EPS)の関係を表すのに対し、PER変化率は、企業の市場評価や投資家の期待がどのように変化しているかを分析する際に役立ちます。
目次
PER変化率の計算式
■ PER変化率 = (最新PER – 過去PER)/過去PER x 100
- 最新PER: 現時点のPER(株価 ÷ EPS)。
- 過去PER: 過去のPER(例: 1か月前、1年前)。
- 計算結果は、PERの増減率をパーセント(%)で表します。
PER変化率の意味
- PERが上昇している(変化率がプラスの場合)
- 株価が上昇しているか、EPSが減少している。
- 主な理由
- 投資家の期待が高まり、株価が利益以上に評価されている。
企業の将来性が見直され、成長期待が高まった。
EPSが減少(利益悪化)したが株価がそれ以上に下がらない場合。
- PERが下落している(変化率がマイナスの場合)
- 株価が下落しているか、EPSが増加している。
- 主な理由
- 投資家の期待が低下し、割安と見なされている。
業績が改善してEPSが増加し、PERが圧縮された。
株式市場全体がリスク回避モードで株価が下落した。
PER変化率を活用する場面
- 市場評価のトレンド分析
- PER変化率を観察することで、企業や業界の市場評価がどのように変化しているかを把握できます。
例:新製品の発表や規制の影響で投資家の期待が変化。
- 投資判断のサポート
- 急激なPER上昇: 株価が過剰評価されている可能性があるため、慎重な判断が必要。
急激なPER下落: 割安な投資機会の発見につながる可能性。
- バブルや調整の兆候検出
- 業界や市場全体のPER変化率が急上昇している場合、過熱状態(バブル)の可能性を示唆。
急落している場合、調整局面にあると推測。
PER変化率の注意点
- EPSの変動に注意
- PERは株価だけでなくEPSの変動にも影響されるため、EPSが一時的な要因で変動している場合、PER変化率が正確な市場評価を反映しない可能性があります。
例:一時的な特別損益や為替の影響。
- 市場全体の影響
- PER変化率は市場全体の動向(リスクオン・リスクオフ)に影響されることが多いため、個別株の評価には相対的な比較が必要です。
- 業種間比較の限界
- 業種によってPERの平均値や期待値が異なるため、異業種間で単純に変化率を比較するのは不適切。
PER変化率の具体例
- ケース1: PER上昇の例
- ▪ 1年前のPER:10倍
▪ 現在のPER:15倍
■ PER = (15 – 10)/10 x 100 = 50 % - 解釈
- 市場評価が50%上昇。投資家が企業の将来成長に対して高い期待を持ち始めた可能性。
- ケース2: PER下落の例
- ▪1年前のPER:20倍
▪現在のPER:15倍
■ PER = (15 – 20)/20 x 100 = – 25 % - 解釈
- 市場評価が25%低下。成長期待が低下、または利益が増加したために割安感が出ている可能性。
PER変化率の実践的な使い方
- 割安・割高のタイミングを探る
- PER変化率が急上昇している場合、株価が行き過ぎた期待を織り込んでいる可能性があるため、注意が必要です。下落している場合、過小評価されている銘柄を見つけるヒントになります。
- 同業他社との比較
- 同業他社のPER変化率と比較することで、相対的な評価の変化を把握できます。
- マーケット全体の動向把握
- 指数(TOPIXやS&P500)のPER変化率を確認し、全体的な市場のセンチメントを理解しましょう。
PER変化率の限界を補う指標
- PBR(株価純資産倍率): 株価が純資産に対してどれだけ評価されているか。
- ROE(自己資本利益率): 株主資本に対する利益率。
- 配当利回り: 配当収入を重視する投資家にとっての重要指標。
PER変化率は、市場や企業の評価の変化を可視化する有用なツールですが、他の財務指標と併用し、全体像を把握することが重要です。
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