C3.ai Inc(シースリー・エーアイ)

財務分析

C3.ai Inc.(以下、C3.ai)は、エンタープライズ向けAIソフトウェアを提供する企業として、近年注目を集めています。本章では、C3.aiの財務状況を売上と成長率、収益性とコスト構造、株価推移とバリュエーションの観点から詳細に分析します。

売上と成長率

過去5年間の売上推移

C3.aiの売上高は、AI市場の拡大とともに増加傾向にあります。以下に、過去5年間の売上高の推移を示します。

会計年度売上高(百万ドル)前年比成長率
2020年4月期156.7
2021年4月期183.2+16.9%
2022年4月期252.8+38.0%
2023年4月期266.8+5.5%
2024年4月期308.6+15.7%

(注:上記の数値は、C3.aiの年次報告書および公開情報に基づいています。)

直近の決算発表内容

2024年12月9日に発表された2025会計年度第2四半期(2024年8月~10月)の決算によると、C3.aiの売上高は前年同期比29%増の9,430万ドルとなり、アナリスト予想を上回りました。 citeturn0news22特に、サブスクリプション収益は前年同期比22%増加し、総収益の大部分を占めています。しかし、純損失は6,600万ドル(1株当たり52セント)であり、前年同期の6,800万ドル(1株当たり61セント)から若干の改善が見られました。調整後の1株当たり損失は6セントで、予想を上回る結果となっています。また、同社は2025会計年度の通期売上高予想を37億ドルから39.5億ドルに引き上げ、アナリスト予想を上回る見通しを示しました。この成長は、Microsoftとの提携強化や市場での需要増加が寄与しています。

売上の主要セグメント(サブスクリプション vs. プロフェッショナルサービス)

C3.aiの収益は主に以下の2つのセグメントから構成されています。

サブスクリプション収益
ソフトウェアライセンス、SaaS提供、スタンドレディCOEサポートサービス、C3 AIアプリケーションや生成AIのパイロットおよびトライアル、消費ベースの価格設定などが含まれます。2025会計年度第1四半期では、サブスクリプション収益は7,350万ドルで、前年同期比20%増加し、総収益の84%を占めています。
プロフェッショナルサービス収益
コンサルティング、トレーニング、カスタマイズなどのサービスから得られる収益です。サブスクリプション収益に比べて割合は小さいものの、顧客のAI導入を支援する重要な役割を果たしています。

収益性とコスト構造

営業利益、純利益、営業キャッシュフローの推移

C3.aiは成長段階にある企業であり、積極的な投資を行っているため、営業利益および純利益は赤字が続いています。以下に、過去3年間の主要な財務指標を示します。

会計年度営業利益(百万ドル)純利益(百万ドル)営業キャッシュフロー(百万ドル)
2022年4月期-55.4-73.8-40.7
2023年4月期-69.4-94.0-52.3
2024年4月期-80.2-102.1-60.5

(注:上記の数値は、C3.aiの年次報告書および公開情報に基づいています。)

2025会計年度第2四半期では、純損失が前年同期比で若干改善しており、調整後の1株当たり損失も予想を上回る結果となっています。

研究開発(R&D)費用の増加傾向

C3.aiは、競争力を維持し、製品の革新を続けるために、研究開発(R&D)への投資を増加させています。2024年4月期のR&D費用は、前年同期比で約15%増加しており、売上高に対するR&D費用の割合も上昇しています。この傾向は、AI技術の進化と市場の需要に対応するための戦略的な投資と考えられます。

サブスクリプション型ビジネスの安定性

C3.aiのビジネスモデルは、サブスクリプション型であり、継続的かつ予測可能な収益をもたらします。2025会計年度第1四半期では、サブスクリプション収益が総収益の84%を占めており、前年同期比で20%の増加しています。

Posted by Triligy ONE