ドルとスペイン銀貨との関係
米ドルとスペインの銀貨には深い歴史的なつながりがあります。以下にその関連性について詳しく解説します。
スペインの銀貨の影響
スペインの銀貨、特に「スペイン・ドル」または「ピースオブエイト」として知られる8レアル銀貨は、米ドルの起源に大きな影響を与えました。
- 北米での流通
- 17世紀以降、北アメリカのイギリス領植民地では、スペイン・ドルが広く流通していました。これは、スペインの銀貨が高品質で信頼性が高かったためです。
- 通貨名の採用
- アメリカ独立後、1792年に新しい通貨制度が制定される際、すでに馴染みのあった「ドル」という名称が採用されました。この「ドル」という名称は、スペイン・ドルに由来しています。
- 価値の基準
- 初期の米ドルは、スペイン・ドルと同等の銀含有量を持つように設計されました。これにより、既存の経済システムとの互換性が確保されました。
スペイン・ドルの特徴
スペインの銀貨、特にメキシコドルとして知られるものには以下のような特徴がありました。
- 高品質
- スペインのドルペソは、16世紀に遡る高品質の銀貨でした。
- 国際的な流通
- その品質の高さから、スペインの銀貨は国際的に広く流通し、貿易銀として使用されました。
- デザイン
- スペインの植民地時代に発行されたものは「ピラードル」と呼ばれ、ヘラクレスの柱を描いた大型銀貨でした。
ドル記号の由来
ドル記号「$」の起源についても、スペインの銀貨との関連が指摘されています。
- ペソ記号の進化
- 最も有力な説では、ペソを表す「P’s」がだんだんとPとSが重ね書きされるようになり、最終的に「$」になったとされています。
- ヘラクレスの柱
- 別の説では、スペインドルに記された紋章のジブラルタル海峡の両端に立つヘラクレスの柱が、ドル記号の縦線2本の由来だとされています。
- 8レアル説
- スペインのペソが8レアル換算だったことから、「8R」が「$」のように書かれるようになったという説もあります。
結論
米ドルとスペインの銀貨には、名称、価値基準、そして記号に至るまで密接な関連があります。スペインの銀貨が築いた国際通貨としての基盤を、米ドルが引き継ぎ発展させたと言えるでしょう。この歴史的背景が、現在の米ドルの国際的な地位の一因となっています。
