ストラテジー社(MSTR)の現況(2025年2月27日)

ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)は、アメリカのソフトウェア会社ですが、普通のIT企業とは違い、会社の資産のほとんどをビットコイン(BTC)として保有している特殊な企業です。つまり、ストラテジー社の株価(MSTR)は、ビットコインの価格と強く連動しています。
ストラテジー社(MSTR)の株価下落とビットコイン保有状況
最近、ビットコインの価格が大きく下がったことを受け、ストラテジー社の株価(MSTR)も下落しています。
- 3カ月以上下落傾向(11月からずっと下がっている)
- 2023年11月21日には543ドル(このときはビットコイン価格も高かった)
- 2024年2月26日には約250ドル(約55%の下落)
つまり、「ビットコインの価格が下がると、ストラテジー社の株価も一緒に下がる」という関係になっています。また、MSTRの株価にレバレッジ(=お金を借りて倍の利益を狙う仕組み)をかけた投資商品もありますが、それらはさらに大きな損失を出しています。
- MSTX(2倍のレバレッジ) → 90%の下落
- MSTU(類似のETF) → 85%の下落
つまり、MSTRにお金をたくさん賭けていた投資家は、より大きなダメージを受けている状態です。
それでもストラテジー社はビットコインで利益を出している?
ストラテジー社は、2020年8月からビットコインを購入し始めました。
- 現在の保有量 → 約49万9096BTC(世界最大級の企業保有)
- 購入したときの平均価格 → 1BTC = 6万6300ドル
- 現在の価格 → 約8万7000ドル
- 含み益(今売ったら得られる利益) → 約106.5億ドル(約1.59兆円)
要するに、ビットコインを買ったときより今の方が高いため、ストラテジー社はまだ含み益を持っている状態です。
ストラテジー社はビットコインを売らなければいけないのか?
→ いいえ、今のところ売る必要はありません。
なぜなら、ストラテジー社が持っているビットコインの価値は、まだ負債(借金)の額よりも大きいからです。
ストラテジー社の借金とビットコインの関係
- 借金(負債総額) → 約82億ドル
- 持っているビットコインの価値 → 約434億ドル
- ビットコインが1万6500ドル以下にならない限り、売却の必要なし!
つまり、ビットコインの価格が1万6500ドル(現在の価格から約80%下落)まで下がらない限り、会社はビットコインを売らなくても大丈夫なのです。
また、同社の借金の中には「転換社債(てんかんしゃさい)」という仕組みのものがあります。これは、「満期になったらお金を返す」か「会社の株に変える(転換する)」かを選べる社債のことです。
現在、転換社債のうち、2029年・2030年に満期を迎えるもの(総額50億ドル)は転換価格を下回っているため、満期時に問題が発生する可能性があります。(⇒ 詳しく解説)
もしビットコインの価格が大幅に下がったらどうなる?
もし、ビットコインの価格が1万6500ドル以下になり、ストラテジー社の持っているビットコインの価値が負債額を下回ると、会社は以下の選択を迫られます。
- 株式を発行してお金を集める(=株の希薄化が起こる)
- ビットコインを売って負債を返済する
このシナリオでは、ストラテジー社は「株価の希薄化を避けるためにビットコインを売却する」可能性が高いです。
結論
- ストラテジー社(MSTR)の株価はビットコインの下落に連動して下落
- しかし、同社のビットコイン保有はまだ大きな利益を出している
- ビットコインが1万6500ドルまで下がらなければ、会社は売却を強いられない
- ただし、転換社債の満期(2029年・2030年)が近づくと、売却リスクが高まる可能性あり
現在の状況では、ストラテジー社はすぐにビットコインを売る必要はありません。しかし、ビットコインが大幅に下落すると、会社は負債返済のためにビットコインを売らざるを得なくなる可能性があるため、今後の市場動向を注視する必要があります。


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