株価収益率(PER)とは?
株価収益率(Price Earnings Ratio, PER)は、株価がその企業の1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)の何倍で取引されているかを示す指標です。企業の収益力と株価のバランスを測るために使われます。
PERの計算式
■ PER = 株価/一株あたりの利益(EPS)
- 株価: 現在の株価。
- EPS: 純利益 ÷ 発行済株式数。
PERの解釈
- 高PER
- 意味:株価が利益に対して高く評価されている。
特徴:成長性が高い企業に見られる(例: テクノロジー、バイオテクノロジーなど)。投資家が将来の利益成長を期待している。
注意点:高PERは投資家の期待値が高い分、成長が失望に終わると株価が急落するリスクがある。
- 低PER
- 意味:株価が利益に対して低く評価されている。
特徴:割安と見なされることがある(バリュー株)。成長性に乏しい、または市場で過小評価されている可能性。
注意点:低PERの理由が業績悪化や特定リスクの場合、投資の慎重な検討が必要。
PERの適正水準
- 業界平均との比較
- PERを業界平均と比較することは、特定の企業が業界内で割安か割高かを評価し、投資判断や株価の適正性を検討するために行われます。業界全体の平均と比較することで、企業の成長性、収益性、リスク要因を業界特性に基づいて相対的に評価することができます。
- 日本株式市場(TOPIXなど):12~18倍が一般的。
- 成長産業:20倍以上も普通。
- 低成長産業:10倍以下になることが多い。
- 国別比較
- PERの国別比較は、各国の株式市場全体または特定のセクターにおける株価評価の水準を比較することで、その国の市場が割安か割高かを判断するために行います。この比較は、国ごとの経済成長率、金利水準、産業構造、市場特性を踏まえた上で、国際的な投資戦略を立案するために重要です。
- 米国市場(S&P500): 通常15~20倍。
- 新興国市場: 10~15倍程度が多い(リスクプレミアムを反映)。
PERの種類
- 実績PER
- 過去の実績EPSを基に算出。
安定性があるが、将来の変動を反映しない。
- 予想PER
- アナリスト予想のEPSを基に算出。
将来の利益成長を織り込むため、投資判断に役立つが、予想が外れるリスクあり。
PERの限界と注意点
- 利益がゼロまたはマイナスの場合
- EPSがマイナスの場合、PERの計算が不可能。
利益が一時的に大きく変動する企業ではPERが不安定。
- 業界間比較の難しさ
- 業界ごとにPERの平均が異なるため、異なる業界間での単純比較は不適切。
- 利益の質の違い
- 純利益に依存するため、会計上の操作や一時的な要因でEPSが変動する場合がある。
- PERだけでは判断が不十分
- PERは株価の一面を示す指標であり、他の指標(PBR、ROE、配当利回りなど)と併用して判断する必要がある。
PERの応用例
- 割安株の発見
- 同業他社と比較してPERが低い場合、その企業が割安と判断される可能性がある。
- 成長企業の評価
- PERが高い場合、将来の成長性を織り込んでいるかを確認する。
- 市場全体の評価
- 市場全体のPERが極端に高い場合、バブルの兆候として捉えることができる。
実例(日本株)
- 計算例
- ある企業の現在の株価が2,000円で、1株当たり利益(EPS)が200円の場合
■ PER = 2000/200 = 10倍
この場合、10年分の利益で株価を回収できる計算になります。
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